- 1. 経営事項審査を想定した実務上のポイント解説
- 2. 技術職員名簿とは
- 3. 技術職員名簿に記載できる人の基本要件
- 3.1. ① 常勤性(恒常的な雇用関係)があること
- 3.2. ② 申請会社に所属していること(実態があること)
- 3.3. ③ 技術職員としての資格または実務経験があること
- 4. 記載できる技術職員の主な区分
- 4.1. ① 監理技術者に該当する人
- 4.2. ② 主任技術者となり得る資格保有者
- 4.3. ③ 資格はないが、実務経験で認められる技術職員
- 5. 記載できない、または注意が必要なケース
- 5.1. 派遣社員
- 5.2. 出向者
- 5.3. 監査役
- 5.4. 二重計上
- 6. 実務上の注意点
- 7. まとめ
- 8. 経審・技術職員名簿でお困りの方へ
- 9. 関連情報・参考記事
経営事項審査を想定した実務上のポイント解説
経営事項審査(経審)では、建設業者の技術力を評価するために、
「技術職員名簿」**の提出が求められます。
この名簿に
「誰を記載できるのか」
「社員なら誰でもよいのか」
といった点は、経審実務で特に質問の多い部分です。
本記事では、宮城県における経審の運用を前提に、技術職員名簿へ記載できる人の範囲と、注意点を分かりやすく解説します。
技術職員名簿とは
技術職員名簿は、
経審における 技術力(Z点) を評価するための基礎資料です。
建設工事の施工に関し、
一定の技術力を有する職員を記載し、
その 人数や資格内容 に応じて点数が算定されます。
単に在籍している社員を記載する書類ではなく、
要件を満たす技術者のみが対象となります。
技術職員名簿に記載できる人の基本要件
技術職員名簿に記載できるのは、
原則として次の要件をすべて満たす人です。
① 常勤性(恒常的な雇用関係)があること
技術職員として評価されるためには、
審査基準日(通常は決算日)以前から、6か月を超える恒常的な雇用関係があることが求められます。
「一時的な雇用」や「短期間の在籍」は認められません。
実務では、次のような資料により常勤性が確認されます。
- 健康保険・厚生年金の加入状況
- 雇用保険の加入状況
- 給与支給の実態
② 申請会社に所属していること(実態があること)
技術職員名簿に記載できるのは、
当該建設業者に実態として所属し、業務に従事している人です。
次のようなケースは認められません。
- 名義だけを借りている
- 実際には他社で常勤している
- 業務実態が確認できない
③ 技術職員としての資格または実務経験があること
技術職員名簿には、
資格保有者だけでなく、一定の実務経験を有する人も記載できます。
ただし、いずれの場合も
裏付け資料が必要となります。
記載できる技術職員の主な区分
① 監理技術者に該当する人
- 監理技術者資格者証を有する者
- 監理技術者講習を修了している者
主に特定建設業において重要な位置づけとなり、
経審でも高い技術力として評価されます。
② 主任技術者となり得る資格保有者
次のような国家資格を有する人は、
技術職員として記載できます。
- 1級・2級施工管理技士
- 技術士
- 1級・2級建築士
- その他、建設業法に基づく資格
※評価対象となる業種・区分との対応関係が重要です。
③ 資格はないが、実務経験で認められる技術職員
国家資格を持っていなくても、
- 建設業法上、主任技術者になれる
- 一定年数以上の実務経験がある
と認められる場合は、
技術職員名簿に記載することができます。
この場合、
実務経験証明書の提出が必要となり、
経験内容・期間・工事内容の整合性が厳しく確認されます。
記載できない、または注意が必要なケース
派遣社員
派遣社員は、
直接的な雇用関係がないとして、
原則として技術職員名簿に記載できません。
出向者
出向者については、
雇用関係や指揮命令系統の実態により取扱いが分かれます。
宮城県の実務でも、
出向契約書等により常勤性・所属実態が確認できるか、
個別に判断されるケースがあります。
監査役
監査役は、
会社法上の兼職制限との関係から、
技術職員名簿に記載することはできません。
二重計上
同一の技術者を、
同時期に複数の会社で技術職員として計上することは不可です。
実務上の注意点
- 点数目的で無理に記載すると、補正や不認定の原因になります
- 経審と建設業許可の要件は同一ではありません
- 技術職員として載せられるか迷う場合は、事前確認が安全です
まとめ
技術職員名簿に記載できるのは、
- 6か月を超える恒常的な雇用関係(常勤性)がある人
- 申請会社に実態として所属している人
- 資格または実務経験の裏付けがある人
です。
技術職員名簿は、
経審の技術力評価に直結する重要書類です。
正確な理解と慎重な記載が、スムーズな審査につながります。
経審・技術職員名簿でお困りの方へ
当事務所では、
- 技術職員として記載できるかの事前確認
- 技術職員名簿の作成・チェック
- 宮城県への経審申請サポート
を行っています。
「この社員は載せられる?」
といったご相談も、お気軽にご相談ください。
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